| 『丹鈴』を朗読する 伊三野友章 わたしが六年前、佐倉東高校に赴任してきて初めての夏休み、まず着手したのが創立以来の本校の歴史を映像化することでした。わたしは夏休みじゅう、ずっと事務室前の陳列ケースにへばりつき、陳列された写真一枚一枚をイメージスキャナを用いてノートパソコンに取り込む作業を続けました。 そして、その夏、その陳列ケースで、わたしは『丹鈴』と出会ったのです。千葉県立佐倉高等女学校卒業五十周年記念誌『丹鈴』。そこには太平洋戦争「開戦の年に入学し、終戦の年に卒業」した同窓生の稀有の体験が綴られていました。わたしは突っ立ったまま、しばし作業の手をとめてその冊子に読みふけりました。わたしは演劇部顧問としていつかその音声化を試みたいとすでにそのとき考えたことをはっきり覚えています。 それから五年が経ち、ようやくその実現の機会がめぐってきました。 発端は、長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』との出会いでした。「ひめゆり学徒隊」の生存者の方々の「言葉を丹念に紡いだ作品」。その映画の完成を待たずして3人の方が他界されたといいます。これは今、ぎりぎりのところで是が非でも行なわねばならない作業なのだということが明確に理解できました。そして次の瞬間には、もう気持ちは固まっていました。佐倉で上映会をやろう、と。 映画『ひめゆり』の上映会を企画するなかで、映画上映とあわせて『丹鈴』の朗読も行なうアイデアは、最初から脳裡にありました。テーマは、《戦争体験を語り継ぐ》ということ。もちろん戦争体験者の方々の証言を記録する作業が喫緊の課題であることは言を俟ちません。しかしまた同時に、語り継がれた戦争体験を、今度はわたしたちがいかにして次の世代に語り継いでいくのか、という課題もあるのではないかと考えたのです。戦争体験者の方々のことばを、戦争体験のないわたしたちが、戦争体験のないあなたに語り継ぐこと。朗読を通じて実現しようとしたのはそのようなことでした。 朗読は「SAKURA/OKINAWA」と題し、『丹鈴』とともに伊波園子氏著『ひめゆりの沖縄戦』の冒頭部分もあわせて朗読することにしました。よびかけに応えてあつまった佐倉東高校の在校生卒業生は九名。皆つらい練習にも耐え頑張りました。 本番は今年一月三十日三十一日、ミレニアムセンター佐倉にて。同窓会の皆様をはじめ多くの方々にご支援をたまわり盛況のうちに終えることができました。この場を借りて、皆様に厚く御礼申しあげます。 |
2009年07月24日
『丹鈴』を朗読する
今年1月に行なった朗読+映画イベントにつき同窓会より原稿依頼があって筆をとり、あらためて朗読にとりくむことになった経緯をふりかえる、よい機会となりました。以下は、その「『丹鈴』を朗読する」と題した拙文です。
この記事へのコメント
コメントを書く



