2009年11月04日

演劇「父と暮せば」上演に寄せて

tokei01.jpg愛するものを失ってなお永らえること。生きのこることもまた苛酷なのだ。
高校時代、古典の時間に「後(おく)る」という古語をはじめて習ったときの奇妙な感慨がよみがえる。習ったのは、「(誰それ)に後る」という用法である。親しい人に先立たれること、死別することを「後る」という。わたしの身近で誰かが亡くなるとき、わたしはその人に「後れた」のだ。周囲で1人また1人と亡くなっていき、そして、わたしはまたぞろ「後れる」、どんどん「後れる」。生きつづけることは、すなわち「後れつづける」ことにほかならない。

この劇の舞台は原爆投下から3年後の広島。美津江は、原爆で親友にも肉親にも「後れ」てしまい、ひとり永らえる。ある日、美津江は勤め先の図書館にやって来た木下という青年に恋をする。けれども、ひとり生きのこった後ろめたさから、その恋も断念しようとする美津江。「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」。そんな美津江を、父・竹造は懸命に励まし応援するのだが−−。言わずと知れた、井上ひさし氏の名作。

『父と暮せば』のラストシーンは、長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』のなかの、あるひめゆり学徒の生存者の方のことばを想起させる。その生存者の方は「ここから生き残ったのではなく、生き残された」といい、「(亡くなった人たちは)何としても生きたかったんですよ。それを今、私に伝えてくれ、と言ってるように思えるんです」と語られていた。『父と暮せば』にもまた映画『ひめゆり』同様「生き(のこ)ること」の意味への深い洞察がある。

映画『ひめゆり』がドキュメンタリーであるのに対し、『父と暮せば』は、なるほどフィクションといえばフィクションである。だが、作者の井上ひさし氏は、こう書かれている。「(被爆者の方々の)手に入った手記を数百編、拝むようにして読み、そこからいくつもの切ない言葉を拝借して、あのときの爆心地の様子を想像しました。そして、それらの切ない言葉を再構成したのが、この戯曲です」と。ここに紛れもない真実がある、そう観客をして感じさせる所以である。
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2009年10月14日

10・11「父と暮せば」お寄せいただいた感想

「感情表現豊かで泣きそうになりました」

「方言がエセに聞こえませんでした」

「セットすごいです」

「照明と音響のコンビネーション」

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2009年10月11日

県大会出場!

10月10日(土)11日(日)、千葉県高校演劇第7地区秋季地区発表会が行われ、「父と暮せば」(井上ひさし作)を上演した本校が代表校となり、第62回千葉県高等学校演劇研究中央発表会(千葉県大会)に出場することになりました。
なお第62回千葉県高等学校演劇研究中央発表会は、11月20日(金)21日(土)22日(日)の3日間、青葉の森公園芸術文化ホールにて行われます。
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小道具製作その3

この作品には欠かせない、最重要の小道具である被爆地蔵。
やっぱり発泡スチロールの土台に「かるい紙粘土」をつけて造形。
IMG_0460.jpg
最初はフツーのお地蔵さんの顔。
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その左顔面に火ぶくれをくわえる。これがバージョン1。
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ひたすら紙やすりをかける。
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着色。
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そして、焼けこげた感じのヨゴシを入れる。
IMG_0475.jpg
これで完成、と思ったら…!?

その後、佐倉東高校演劇部OGであるFが特派員として広島に飛んだ! …というのはウソで、たまたま岡山に行く用事があるというので、ちょっと広島に寄ってもらった。

Fから送られてきた写真がこれ。
原爆ドーム近くにあるお地蔵さんらしいが、鼻がなくなってツルツルになっている。
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ほぼ真上から被爆したため真下に黒い影ができている。
IMG_0024-1.jpg
そして、これが資料館にある被爆地蔵。やっぱり鼻がなくなっている。
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というわけで、被爆が原因で石に火ぶくれのようなものができるのは非現実的との指摘を受けて改作したのがこれ。バージョン2。
IMG_0558.jpg
鼻も削るべきだとも言われたが、思いとどまった。

なによりも表現したかったのは、安らかな静けさを湛えた右顔面と、焼けただれた左顔面とのコントラストである。鼻を削ることで右顔面の安らかな静けさが損なわれることを恐れたのだ。
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2009年10月10日

小道具製作その2

石灯籠(宝珠〜中台)をつくる。
まずは、発泡スチロールで土台。
石灯籠1.jpg
つぎに、そこに「かるい紙粘土」をくっつけて石灯籠の「笠」の曲線部などをつくっていく。
石灯籠3.jpg
水性ペンキに砂を混ぜて塗ることで石のザラザラ感を出す。
石灯籠4.jpg
アクリル絵の具で汚しを入れて
石灯籠5.jpg
黒のラッカースプレーで焼け焦げた感じに。完成!
石灯籠6.jpg
posted by 佐倉東高校演劇部 at 06:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月09日

明日から、千葉県高校演劇第7地区秋季地区発表会

10月10日(土)11日(日)の2日間、千葉県高校演劇第7地区秋季地区発表会が成田市民ホール(成田公民館3階)にて行なわれます。本校の発表は11日(日)10:30〜。演目は井上ひさし氏の、あの名作「父と暮せば」、「原爆投下後の広島を舞台にした二人芝居」(Wikipediaより)です。お時間がございましたら、ぜひとも足をお運びいただき、ご観覧の上ご批評たまわればさいわいです。
父と暮せばポスター.jpg
posted by 佐倉東高校演劇部 at 23:56| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

小道具製作その1

夏休みから、今度やる芝居の小道具づくりを開始。

まず着手したのが「ぐにゃりと曲がったガラス瓶」製作。

リ○ビタンDの瓶をゴミ捨て場から拾ってくる。

これをどうしたら曲げられるんだろう、ぐにゃりと。そりゃ溶かせばいいんだろうけど、そもそもガラスが何℃で溶けるのかもわからない。PCでググってみる。「ガラス 溶ける 温度」。すると、だいたい1,000℃ぐらいじゃないかと書いてある。

ホームセンターに行き、よくBQなんかで使うバーナーを手にとって裏の説明書きを読むと、「炎温度1,300℃」とある。なんだ楽勝じゃないか。そう思った。楽勝楽勝。そう思った。恥ずかしながら。

バーナーを買ってきて早速、ガラス瓶に炎をゴーッと噴きつけた。

割れた。当然のことながら。

ガラスは、一瞬にして、もののみごとに、あっけなく、割れた。楽勝、なんかではなかった。
割れた瓶.jpg
咄嗟に浮かんだのは、キューゲキな温度変化、ということば。キューゲキな温度変化を与えるとガラスは割れる。

じゃあどうすりゃいいのか。思案した。とにかくキューゲキでなきゃいいんだな。

BQセットを持ち出し炭火をおこす。そして、そこにガラス瓶をくべ熱する。充分熱したうえでガラス瓶に炎をゴーッ。今度はだいじょうぶ。割れない。しかしガラスのやつ、なかなか手強いぞ。じっとガマンで、2〜3分も熱しつづけただろうか、ようやく軟化点に達したとみえる。一点集中で熱しつづけた、その一点が、スミマセン、モーマイリマシタ、みたいな感じでわずかに凹んだ、と思うやいなや、ガラス瓶は、みるみるぐにゃりと曲がり始めた。成功だ。思わず快哉をさけんだ。なんだ楽勝じゃないか。
バーナーで.jpg
みごとに、ぐにゃりと曲がったガラス瓶を、おこった炭のあいだから取り出し、地面のうえに置いた。

調子づいてすぐさま、2本めのガラス瓶に挑戦!

しかし、悲劇は突如訪れた。

2本めのガラス瓶に挑戦中、かたわらでイヤな音がひびいた。パリン。見れば地面のうえで、さきほどの、ぐにゃりと曲げることに成功したガラス瓶が、あわれ、こなごなに砕け散っている。こなごな。もののみごとに、こなごな。

楽勝、なんかではなかった。

咄嗟に浮かんだのは、キューゲキな温度変化、ということば。熱するときも冷やすときも、とにかくキューゲキな温度変化でガラスは割れる、ということだ。

折角ぐにゃりと曲げることには成功したのに。くやしい。あきらめきれない。さらに挑戦をつづけた、何本も何本も。2本め、地面のうえに置けば、やはり程なくパリン。ならば少しずつ冷えていくように、おこった炭のあいだに暫く放置しておけばどうか。3本め、おこった炭のあいだでパリン。次もその次もパリン。パリン。いっそ急冷してみたらどうか。水の中でパリン。地面を掘って土をかぶせてみる。土の中でパリン。
割れた瓶たくさん.jpg
夏休み後半のとある1日のことである。その日はそれであきらめた。

頼みはやっぱりネット。「熱衝撃thermal shock 物体が激しい温度変化によって衝撃的な熱応力を受ける現象.非定常な温度場で熱膨張・収縮が拘束されると,その程度と物体の弾性係数に依存した熱応力が発生する.特に熱伝導率が低い材料においては考慮すべき重要な現象となる.」(日本材料学会高温強度部門委員会HPより)

ウーン、じゃあどうすりゃいいの? ググってみたら、あった、ありました。

ジョレイバイ!

ぅわあ、なんかオドロオドロシイ。いや、ただ音のひびきが、だけど。除霊媒、じゃなくて徐冷灰。おもむろに、徐々に、冷やす、そういうものが、あるわけね、ようするに、ということがわかった。しかし、そのジョレイバイって、どこに売ってんの? これまたググってみてわかった。バーミキュライトが徐冷灰として使えるようだ。バーミキュライトって園芸用のあれね。というわけでホームセンターへ直行。
バーミキュライト.jpg
リベンジの日。ぐにゃりと曲がったガラス瓶を、おこった炭のあいだから取り出し、バケツにあけたバーミキュライトの中に埋めてみる。1時間経過。バーミキュライトの中に掌をつっこんだ。1時間経ってもまだ結構熱い。なるほど。徐々に冷えてるのね、やっぱり。数時間後、みごと、ぐにゃりと曲がったガラス瓶が完成!
ぐにゃり瓶.JPG
その後、おこった炭がMOTTAINAIので、その炭でトウモロコシを焼いてみんなで食った。
トウモロコシ.JPG
posted by 佐倉東高校演劇部 at 04:47| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月24日

朗読「SAKURA/OKINAWA」の再演

他団体主催によるイベントですが、来る7月26日(日)成田国際文化会館大ホールにて朗読「SAKURA/OKINAWA」を再演することになりました。ただし「再演」と申しましても、出演者を大幅に変更しての上演となります。(出演者10名中、6名までが今年度入学の1年生です。)なお、この再演につき興味関心がおありの方はどうぞお気軽にgekibu@gmail.comまでお問い合わせください。

朗読写真2.jpg
【初演時の写真】

新朗読メンバー.jpg
【今回の出演メンバー(在校生)、この8名に卒業生2名が加わります】
posted by 佐倉東高校演劇部 at 11:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『丹鈴』を朗読する

今年1月に行なった朗読+映画イベントにつき同窓会より原稿依頼があって筆をとり、あらためて朗読にとりくむことになった経緯をふりかえる、よい機会となりました。以下は、その「『丹鈴』を朗読する」と題した拙文です。

『丹鈴』を朗読する
伊三野友章

 わたしが六年前、佐倉東高校に赴任してきて初めての夏休み、まず着手したのが創立以来の本校の歴史を映像化することでした。わたしは夏休みじゅう、ずっと事務室前の陳列ケースにへばりつき、陳列された写真一枚一枚をイメージスキャナを用いてノートパソコンに取り込む作業を続けました。
 そして、その夏、その陳列ケースで、わたしは『丹鈴』と出会ったのです。千葉県立佐倉高等女学校卒業五十周年記念誌『丹鈴』。そこには太平洋戦争「開戦の年に入学し、終戦の年に卒業」した同窓生の稀有の体験が綴られていました。わたしは突っ立ったまま、しばし作業の手をとめてその冊子に読みふけりました。わたしは演劇部顧問としていつかその音声化を試みたいとすでにそのとき考えたことをはっきり覚えています。
 それから五年が経ち、ようやくその実現の機会がめぐってきました。
 発端は、長編ドキュメンタリー映画『ひめゆり』との出会いでした。「ひめゆり学徒隊」の生存者の方々の「言葉を丹念に紡いだ作品」。その映画の完成を待たずして3人の方が他界されたといいます。これは今、ぎりぎりのところで是が非でも行なわねばならない作業なのだということが明確に理解できました。そして次の瞬間には、もう気持ちは固まっていました。佐倉で上映会をやろう、と。
 映画『ひめゆり』の上映会を企画するなかで、映画上映とあわせて『丹鈴』の朗読も行なうアイデアは、最初から脳裡にありました。テーマは、《戦争体験を語り継ぐ》ということ。もちろん戦争体験者の方々の証言を記録する作業が喫緊の課題であることは言を俟ちません。しかしまた同時に、語り継がれた戦争体験を、今度はわたしたちがいかにして次の世代に語り継いでいくのか、という課題もあるのではないかと考えたのです。戦争体験者の方々のことばを、戦争体験のないわたしたちが、戦争体験のないあなたに語り継ぐこと。朗読を通じて実現しようとしたのはそのようなことでした。
 朗読は「SAKURA/OKINAWA」と題し、『丹鈴』とともに伊波園子氏著『ひめゆりの沖縄戦』の冒頭部分もあわせて朗読することにしました。よびかけに応えてあつまった佐倉東高校の在校生卒業生は九名。皆つらい練習にも耐え頑張りました。
 本番は今年一月三十日三十一日、ミレニアムセンター佐倉にて。同窓会の皆様をはじめ多くの方々にご支援をたまわり盛況のうちに終えることができました。この場を借りて、皆様に厚く御礼申しあげます。
posted by 佐倉東高校演劇部 at 11:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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